ラッシュ幻想

人生で初めての撮影現場では何もわからずあたふたしておりました。
正直、今、何を撮ろうとしているのかさえわかりませんでした。
ある民家の草花を思わず踏んでしまった時、装飾の人にとても怒られました。
恥ずかしながら映画の美術はここまで飾るのか、とその時に知りました。
また、カメラのファインダーを覗かせてもらった時の感動も覚えています。
後日、現場の近くの学校の体育館で棒焼きラッシュを見ました。
色調補正していないポジフィルムをコンパクトな35㎜映写機で上映してスタッフでチェックするのです。
音が付いていない映像が次々とスクリーンに投影され、映写機の音だけ聴こえてくる。
それはそれはとても幻想的でした。(P)